アシュタカヴァルガ入門

Ashtakavarga — Points System of Jyotish

この記事のポイント

  • アシュタカヴァルガは、惑星の強さをハウス単位の「得点」で表現するジョーティッシュ独自の技法
  • ビンナ(各惑星ごと)とサルヴァ(合計)の2種類がある
  • ビンナは最大8点、サルヴァは各ハウス最大56点で読む
  • トランジット惑星がハウスにいるとき、その点数が高いほど結果が出やすい
  • 点数はあくまで傾向。ハウス支配関係やヨーガと合わせて総合判断する
アシュタカヴァルガとは

アシュタカヴァルガ(Ashtakavarga)は、サンスクリット語で「8つのグループ」を意味します。ジョーティッシュにおいて、惑星がどのハウスでどれくらい力を発揮できるかを、7惑星+ラグナの計8つの視点から「得点」として表現する独自の技法です。

ジョーティッシュには 9惑星12ハウスドリシュティ といった質的な読み方が数多くあります。アシュタカヴァルガは、それらを補完する「量的な指標」を提供してくれる点で、とても実践的なツールです。

アシュタカヴァルガでは、ラーフとケートゥは対象外とし、太陽・月・火星・水星・木星・金星・土星の7惑星+ラグナの8視点で得点を計算します。
ビンナ・アシュタカヴァルガとサルヴァ・アシュタカヴァルガ

アシュタカヴァルガは、大きく2つのレベルで読みます。

ビンナ・アシュタカヴァルガ(BAV)
Bhinna Ashtakavarga — Individual Scores
「ビンナ」は「個別の」という意味。各惑星が、7惑星+ラグナの視点で各ハウスに与える点(ビンドゥ)を合計したものです。1つのハウスにつき最大8点、最小0点。太陽のBAV、月のBAV…というように7つ計算されます。
サルヴァ・アシュタカヴァルガ(SAV)
Sarva Ashtakavarga — Total Scores
「サルヴァ」は「全体の」という意味。7惑星のBAVを、ハウス単位で合計したものです。各ハウス最大56点(8点×7惑星)。SAVはハウス全体の「地力」を示し、そのハウスに関するテーマがどれくらい花開きやすいかを見る指標になります。

両者の関係を一言で言うと、BAVは「惑星の強さ」、SAVは「ハウスの強さ」を測る道具です。

点数のしきい値と読み方

点数の目安を持っておくと、実際のチャートを見たときに判断がしやすくなります。

ビンナ・アシュタカヴァルガ(1ハウスあたり最大8点)

点数強さ読み方
7〜8点非常に強いそのハウスで惑星が良い結果を出しやすい
5〜6点強い惑星の象意が素直に働く
4点平均他の要素次第で結果が分かれる
2〜3点弱い惑星が力を発揮しにくい
0〜1点非常に弱い結果が出るまでに努力や時間を要する

サルヴァ・アシュタカヴァルガ(1ハウスあたり最大56点)

点数ハウスの状態読み方
30点以上強いハウスそのハウスの人生領域が力を持って開ける
25〜29点標準努力によって結果が出やすい
20〜24点弱め丁寧な取り組みが必要
19点以下弱いそのテーマは苦戦しやすい傾向

これらは絶対的な基準ではなく、あくまで初学者向けの目安です。流派によって解釈が異なる部分もあります。

実践的な使い方

アシュタカヴァルガは、次のような場面で威力を発揮します。

  • トランジット判定 ー 通過中の惑星が、そのハウスで何点持っているかを見ると、時期の結果予測が精度を増します。例:土星が通過中のハウスの土星BAVが5点以上あれば、多少の試練も乗り越えやすい配置
  • ハウス別の得意領域 ー SAVが高いハウスは、その人が本来力を発揮しやすい人生領域。低いハウスは、テーマとして育てていく必要があります
  • ダシャー期間の結果予測ダシャーで通ってきた惑星のBAVが高ければ、その時期に良い結果が出やすい傾向
  • ラーシ占いの補強 ー 月ごとのトランジットを読むとき、通過中の惑星のビンドゥを参照すると、より具体的なニュアンスが読めます
注意点と限界

アシュタカヴァルガは強力なツールですが、いくつか大切な注意点があります。

  • 点数だけで判断しない ー 高得点でもハウス支配関係が悪ければ結果は変わります。逆に低得点でも、他の吉配置で補われることがあります
  • ヨーガとの組み合わせラージャヨーガなどの特別な組み合わせは、点数を超えた結果をもたらすことがあります
  • ダシャーとの併用 ー 時期の判断はダシャーが主。アシュタカヴァルガはその強度の見積もりに使います
  • アヤナーンシャの違い ー ラヒリ、KP、ラーマンなど、流派で点数が微妙に異なることがあります

アシュタカヴァルガは、ジョーティッシュの中でも「量的判断ができる貴重な技法」です。一方で、質的な読みと組み合わせて初めて真価を発揮します。焦らず、少しずつ実際のチャートで確認しながら慣れていくのが良いでしょう。

まとめ

アシュタカヴァルガは、ジョーティッシュに「客観的な数値の視点」を加えてくれる技法です。ビンナで惑星の強さを、サルヴァでハウスの強さを読むことで、時期予測やトランジット判定に大きな助けになります。

ただし、点数はあくまで傾向のヒントです。星の配置は人生を決定するものではなく、あなたが人生をどう生きるかを支えるヒントである、というジョーティッシュの基本姿勢は変わりません。数字と物語の両方を大切に、自分だけのチャートを丁寧に読み解いていきましょう。

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